対象ゲーム： ペルソナ3 ポータブル
テーマ：人間らしい関係への渇望解消
作成時期：2011年7月
作成者: 張信永（チャン・シニョン）
私たちが生活している現代の社会では、主流となっている認識は資本主義であると言えます。資本主義社会は存在性に根ざした社会であり、私たち自身が多くの資源を確保し、他人との競争に勝つことが求められます。つまり、早く、多くを生産し、多くの資本を保有することが強いとされる社会です。その結果、他人と競争に勝つためには、人間関係を築くよりも冷淡な関係を持つことが簡単で、一般化された世界で生きていくことになりました。それは便利な一面を持つ一方で、その結果として生じる虚無感や孤独感を感じるのは必然的なことです。なぜなら、人間は元々一人で生きることはできず、他人との関係を通じて存在する生き物だからです。
さらに、資本主義社会では、人間が商品として評価されます。どれだけの給料で交換できるかによって自身が定義され、人間自身の自我は隠され、我々は孤独感と疎外感を感じるようになります。こういった資本主義社会の特性を反映したゲームは数多く存在します。例えば、長く愛され続けているゲーム「StarCraft」では、他人より早く効率的に資源を採掘し、相手よりも早く発展し、勝利することが求められます。また、人気のMMORPGも、他のプレイヤーより強くなることに没頭させるような仕組みになっています。もちろん、"ペルソナ3 ポータブル"でも、レベルアップするといった要素がないわけではありません。しかし、急いで無理にレベルアップする必要はありません。むしろ、力をつけることとは無関係に、とても落ち着いた時間を過ごすことができる、放課後に人々と交流するという部分に時間を費やさなければなりません。これは、放課後すぐに塾に通わなければならない現実の高校生の姿がそのまま反映されているとは言えません。私たちが生き
ているのは、放課後に友人との友情を深める時間すらない、友人すら競争相手と見なさざるを得ない、自分自身が一人で成功しなければならないという資本主義競争社会です。
"ペルソナ3 ポータブル"は、このような時代を読み解いたゲームとして成功したと私は考えています。ゲーム内で様々なNPCと関係を築くと、その関係が深まることでコミュニティレベルが上がります。その結果、新たなキャラクターカードを組み合わせるときに、隠されたキャラクターを作ることができたり、ボーナスの能力値が付与され、より強力なキャラクターカードを作ることができます。このコミュニティレベルを上げることが主な目的ではありますが、私自身はカードを作る目的だけではなく、関係を築くキャラクターの話を聞き、心を開く過程自体から楽しみを感じました。現代の資本主義社会で深刻に欠けている「人間らしい関係」をゲーム内で築いていくことで、欠けていた部分が補われ、プレイヤーは大きな喜びを感じることができると思います。もちろん、会話をするときに選択肢が限られていたり、ゲームであるがゆえの限界は明らかに存在します。しかし、現実の世界で計算高く表面的な人間関係から傷ついたり、何かの理由で人間関係を築くことに対して恐怖を感じたり、困難を感じているゲーマーにとっては、現実の人間関係を築くためのアプローチ方法のヒントを与え、再び挑戦するための手助けとなる役割をこのゲームが果たしていると感じました。
もちろん、ゲームでは満たすことのできない部分は明らかに存在します。しかし、ゲームを通じて認識したことをプレイヤーは現実で経験し、行動することになります。そして、そのプレイヤーは人間関係の重要性を認識した社会の一員として生きていき、他の
人に影響を与えることができるでしょう。その結果、社会はより人間的な社会へと進化し、商品中心の社会へと終わりなく進むことへの制動力となることもあります。このように人々に良い影響を与えることができるゲーム「ペルソナ3 ポータブル」は、私が考える良いゲームの一つです。私もこのようなゲームを作りたいと思います。
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